糖尿病のコントロール

 荷花掌などのハーブは糖尿病の原因そのものであるインスリン抵抗性を改善し、合併症の進行を防いでくれる頼もしい植物です。しかし、それだけで糖尿が改善するものではなく、自分自身の努力も大切です。
 糖尿病の治療では、
(1)血糖値、
(2)グリコヘモグロビンA1c、
(3)標準体重、
(4)体脂肪率、
(5)必要摂取カロリー量(食事療法)、
(6)必要消費エネルギー量(運動療法)

を適正な範囲にコントロールすることが目標になります。もちろん糖尿病を進行させる危険因子(高血圧、高脂血症、肥満、ストレス、タバコ、悪性活性酸素)をいかに除去するかも重要な課題です。
 糖尿病は、血糖コントロールが上手くいっていれば、合併症の進行を抑えたりすることができます。血糖コントロールで大切なのが食事と運動です。症状によっては、薬やインスリン注射によらず、食事と運動療法で治療を進めることになります。また、薬による治療やインスリン注射を行っている患者さんにとっても、食事と運動療法は欠かせません。
 食事と運動療法が血糖コントロールに役立つのは、それによって肥満が解消されるからです。肥満は糖尿病の重大な要因で、肥満が解消されることによって、血糖値が下がってくることが多いのです。肥満が糖尿病の原因になるのは、肥満細胞からインスリンの効きを悪くする阻害物質が分泌されるためです。脂肪細胞は余分なエネルギーを脂肪の形にして蓄える働きをしています。この脂肪細胞に脂肪がたくさん蓄えられるほど、阻害物質の分泌が高まることが判っています。阻害物質が分泌されると、血糖値を下げるためにインスリンが分泌されても、十分な効果 を発揮できなくなります。こうして血糖値の高い状態が続くようになるのです。
 糖尿病はまず食事と運動によって、肥満を解消し、それで足りない時に薬やインスリンの助けを借りて、荷花掌などのハーブを摂り、多方面 から対処していかなければならない病気なのです。

●食事療法のポイント
 大切なのは食べ過ぎないことと、栄養バランスに注意することです。摂取するエネルギー量 が多すぎれば、肥満につながり、血糖コントロールをますます困難にしてしまいます。自分の1日に摂取すべき適正なエネルギー量 (標準体重に身体活動量を掛けた値が、その人の適正な摂取エネルギー量。事務職は27を、外回り営業職は30を、肉体労働は35を掛ける)を知り、それを守っていくことが大切です。このエネルギー量 は、標準体重を維持していくのに適したエネルギー量です。

 エネルギー量を制限した食事を長続きさせるためには、調理方法を工夫することも大切です。エネルギー量 を制限しても、美味しくてボリューム感のある料理が並べば、無理なく食事療法を続けることができます。肉や魚は、網焼きにしたり、茹でたりすると、脂肪が抜けてエネルギー量 を抑えることができます。調味料は控えめにします。濃い味付けだと、ご飯が進み、食べ過ぎてしまうことが多いからです。料理のボリューム感を出すためには、食物繊維の豊富な食材を利用します。食物繊維には、脂肪の吸収を抑えたり、排泄を促したりする働きもあります。

 まず、少なくとも1日3食にし、それをなるべく均等に食べるようにします。朝食を抜いたり、夕食だけ量 が多かったりするのはよくありません。「どか食い」など、一度に大量の食事をとると、血糖値が急上昇します。それを下げようとしてインスリンが大量 に必要になるため、すい臓に負担がかかってしまうのです。「早食い」もよくありません。満腹感を感じる前にたくさん食べてしまうので、食べ過ぎることになります。砂糖を含む食品や果 物は、摂り過ぎに注意します。砂糖や果物に含まれる果糖は、吸収が速く、血糖値を急激に高めるからです。最近はレストランのメニューに総カロリー量 が表示されていますので、日頃から食材のカロリー量を学ぶことが大切です。糖尿病は自己管理で克服可能な病気なのです。

●運動療法のポイント

 血糖コントロールのためには、運動でエネルギーを消費することも大切です。エネルギーを消費するにはウォーキングのような有酸素運動が必要です。
 有酸素運動とは、呼吸で取り入れた酸素によって体内のエネルギー源を燃焼させる運動です。エアロビクス、水泳、ジョギングなども有酸素運動ですが、いつでも、どこでも、1人でできるという点で、ウォーキングが勧められます。ウォーキングなどの有酸素運動は、少し汗ばむ程度のスピードで、できれば20分以上続けるようにします。運動を開始してから20分間程は、主に体内のブドウ糖がエネルギー源として利用されます。これも血糖値を下げるのに役立ちますが、脂肪はあまり使われません。しかし、運動を開始して20分が経過する頃から、ブドウ糖の代わりに脂肪がエネルギー源として、たくさん使われるようになります。つまり、脂肪細胞に蓄えられた脂肪を減らすには、有酸素運動を20分以上続けることが必要なのです。ただし、短時間の運動を積み上げていく方法でも、消費エネルギー量 を増やすことはできます。通勤の時、1つ手前の駅で下車して歩く、エレベーターをやめて階段を使うなど、生活の中に運動を取り入れ、それを習慣化して自己管理する姿勢が大切です。
 有酸素運動以外にダンベルなどを使って筋肉量を増やす運動も勧められます。瞬間的に大きな力を発揮する、このような運動は無酸素運動と呼ばれます。無酸素運動で消費されるエネルギーは多くはありませんが、筋肉の量 が増えると、基礎代謝として消費されるエネルギー量が増えます。基礎代謝とは生命を維持していくために安静にしていても消費されていくエネルギー量 の6〜7割を占めています。つまり、無酸素運動で筋肉を増やしておけば、基礎代謝が上がり、自然とエネルギー消費量 が増えることになるのです。
 また、動脈硬化の原因に血管内皮細胞で作り出される「NO(一酸化窒素)」の不足が上げられます。「NO」は
(1)血管平滑筋を弛緩させ血管を広げたり、
(2)悪玉コレステロールの酸化を防いだり、
(3)血栓を予防したり、
(4)抗菌作用、
(5)免疫作用、
(6)脳の学習

などの作用が報告されています。「NO」が減少する要因は高血圧、高脂血症、肥満、ストレス、活性酸素などが考えられます。よって、「NO」が増加する要因は、活性酸素除去、リラックス、笑いなどの生活習慣の改善が必要ですが、特に有酸素運動は著しく「NO」を上昇させ、血糖コントロールに役立つ効果 があります。ただし、運動しているからといって、不用意に食事量を増やさないよう、注意が必要です。運動によってどの程度のエネルギーを消費できるのか把握しておきましょう。